公正取引委員会は2025年4月15日、米IT大手グーグルに対し、独占禁止法違反にあたるとして排除措置命令を出しました。
これは、公取委が「GAFAM」と呼ばれる巨大IT企業に対して初めて発した命令で、日本のスマートフォン市場における公正な競争の確保に向けた大きな一歩とされています。
問題視されたのは、グーグルがスマートフォンメーカーに対し、自社のアプリストア「Google Play」を搭載する条件として、検索アプリ「Google」やブラウザ「Chrome」を初期状態でインストールし、ホーム画面の目立つ位置に配置するよう求めていたことです。
さらに、検索広告の収益を一部還元する見返りとして、ヤフーなどの競合他社のアプリを搭載しないよう契約していたケースもありました。
こうした契約は2023年末時点で、国内で販売されているAndroidスマートフォンの約8割に影響を及ぼしていたとされ、公取委はこれを独占禁止法第19条が禁じる「拘束条件付き取引」に該当すると判断。
検索市場における競合の排除と、グーグルの高いシェア維持が目的だった可能性が高いと指摘しています。
排除措置命令では、こうした契約の見直しと再発防止策の徹底、今後5年間にわたり第三者による監視と定期報告が義務付けられました。
グーグルは日本市場において、2023年時点で検索シェア81%以上を占めており、公正取引委員会はこうした支配的地位が公正な競争を阻害していると判断した形です。
一方、同日、グーグルはこの命令に対するコメントを発表し、遺憾の意を表明しました。グーグルによれば、アプリのプリインストールはメーカーに対して「強制」されたものではなく、契約の選択肢として完全に任意で提供されていると主張。
また、Androidはオープンソースであり、グーグルと契約せずに自由に使用することも可能で、搭載するアプリの選択は各メーカーの裁量だとしています。
さらに、グーグルはAndroidに関する契約は競争を阻害するものではなく、むしろスマートフォン市場での競争を活性化させるものだと強調。
今回の排除措置命令については慎重に内容を精査したうえで、日本の消費者や端末メーカー、通信事業者にとって引き続き競争力のある選択肢を提供できるよう、公正取引委員会とも協力していく方針を示しました。
今回の命令は、巨大IT企業による市場支配と公正な競争のバランスをどう取るかという国際的な課題とも深く関わっており、今後の議論や規制の方向性にも大きな影響を与えるとみられます。