フードデリバリーサービス「出前館」の配達員アカウントを不正に貸し出していたとして、東京都中野区の会社役員・山崎光太郎容疑者(50)ら4人が、詐欺や私電磁的記録不正作出などの容疑で警視庁に逮捕されました。
逮捕者の中には、就労資格のないウズベキスタン人のママトカディロフ・イスカンダルベク・レジャボイ・ウグリ容疑者(24)も含まれており、今回の事件は国内の労働管理やフードデリバリー業界の信頼性に大きな影を落としています。
警視庁によると、山崎容疑者はLINEのオープンチャットなどSNSを通じて「副業紹介」や「出前館案件」といった名目で、日本人に対して配達員アカウントの作成を依頼。
一方で、難民申請中や短期滞在中で就労資格のない外国人、特にウズベキスタンやベトナム出身者らにそのアカウントを貸し出し、配達員として働かせていたとみられます。
事件の発端は、ママトカディロフ容疑者が名義を借りた日本人のアカウントで出前館の配達業務中に、モペットを運転してひき逃げを起こしたことにより、不正行為が明るみに出たものです。
警察の捜査で、少なくとも150人以上の外国人が同様の手口で不正に働いていた疑いがあることが判明しました。
配達業務で得た報酬は、日本人名義提供者に月額約2万円、仲介役には1万円が支払われていたとされています。
出前館は、このような不正行為に対し強い姿勢で臨んでおり、本人確認システムの強化や顔認証の導入、審査手順の追加など、運用体制の見直しを進めてきました。
また、問題の根絶に向け、SNSなどでの注意喚起や啓発活動にも取り組むとしています。
SNS上では依然として複数のアカウント貸与募集が確認されており、専門家は「軽い気持ちで関わると、知らず知らずのうちに犯罪に加担することになる」と警鐘を鳴らしています。
今回の事件は、国内の就労制度の盲点や、急成長するフードデリバリー業界におけるガバナンスの重要性を改めて浮き彫りにしました。
警視庁は今後も、山崎容疑者らが関与したとされる約5400万円規模の不正報酬の実態解明を進める方針です。